不妊症の検査と治療

日本産婦人科学会の定義は結婚一年に避妊のない健全な性生活を送っているにもかかわらず、妊娠しない場合を不妊症の原因は大体30%が女性のみ、30%が男性のみ、30%が男女ともにあり、10%が原因不明という研究の報告があり、不妊症の検査は夫婦ともに受けることが必要となります。

当クリニックの不妊症検査

問診・初診時

○問診

当クリニックではまず問診表を記入してから、詳しい対話をしながら、いろいろの不妊症の原因を探るから検査を始めさせていただきます。
不妊症治療を開始する前には妊娠することの安全性についてまず確認することが勧められます。

妊娠した場合に問題となる心臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症、膠原病、血液病などの疾患について、除外と確認しておくことが望ましいです、既往歴の問診に加えて、血圧測定、血糖検査、血算、生化学検査、尿検査などを行うことが勧められます。(場合によって、男性も同じような血液検査が必要です)

○基礎体温測定(BBT)

毎朝、目が醒めたら、起き上がらないうちに婦人電子体温計で舌下にて測定します。基礎体温表からわかることは排卵の有無、排卵日の予測、黄体機能の評価と妊娠の判定が出来ることで、不妊症治療にはかなり大事なインフォメーションがえられますので外来受診時に必ず忘れないようにご持参をお願いします。

排卵がある人には基礎体温表が二相性になります。体温が一番下がった日が排卵日と思われていますが必ずしもそうではありません。一般的には体温が一番下がった日の前後、それぞれ2日を合わせた5日の間に排卵が起きていますがさらに経腟超音波を使って、卵胞大きさの測定と子宮内膜の形態所見と脳下垂体ホルモンのLH、FSHと卵巣ホルモンのE2、P4の採血を並行して検査すると、もっと確実になります。

○婦人科診察

内診時、おりものが異常に増えるかどうかをチェックし、性感染症、子宮頚部の炎症をも調べます。それに、子宮の大きさ、硬さ、子宮の可動性、子宮の可動痛、および子宮と直腸の間の病変と癒着の有無を調べます。

○子宮頚がん検診

子宮頚がんは女性がんの中でも発生率が高いですので、妊娠する前に検査しておいた方が少なくとも妊娠中は安心です。

○クラミジア抗原、抗体検査

クラミジアの抗原検査は綿棒で子宮頚管を軽く擦過することによって行います。
クラミジア抗体検査は採血にて、過去にこの感染症にかかったことがあるか、ないかの確認をします。
この感染症は無症状でも子宮頸管炎を起こし、そこから上行感染して、卵管の狭窄、閉塞を作ります。さらに腹膜炎と腹膜の癒着も引き起こし、卵管性不妊の原因になります。

○経腟超音波検査

上記の検査後に経腟超音波にて子宮の形態、子宮内膜の状態をチェクし、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮線筋腫などの器質的な病変の有無をモニター画面で確認します。それと同時に卵巣の状態(大きさ、老化状況など)、卵巣嚢腫はないか確認を行います。

この経腟超音波検査は不妊症の診断と治療には大変重要な役割を持っています。月経初期の原始卵胞から成熟卵胞、排卵までのモニタリング予測と黄体機能と形態所見を評価することが出来ます。

大体、不妊治療の上で排卵誘発をする際に、経腟超音波の画像モニタリングを用いて、卵巣にできている卵胞の大きさ(超音波では円形の黒い像として見えます)と数を測定し、子宮内膜の形態を分析して、排卵日の予想とコントロールを行います。
それによって排卵したことも確認できますし、セックス タイミングを把握することも簡単にできます。この時期に同時に採血して、血液のホルモン検査を行うことによって、排卵誘発状態を評価するとともに、副作用の卵巣過剰刺激症候群を回避することもあります。排卵状態の重要な参考指標になります。

卵胞期

○血中ホルモン基礎値検査

出来れば、月経周期の3-5日目の卵胞期初期(月経中)に来院し、下垂体ホルモンの黄体化ホルモン(LH)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、乳汁分泌ホルモン(PRL)と卵巣ホルモンのエストラジオール(E2)、プロゲステロン(P4)、テストステロン(T、男性ホルモン)を採血し、血中基礎値を測定します。
無月経の症例は来院時に随時に採血します。多嚢胞性卵巣症候群(polycystic ovary syndrome, PCOS)の採血は非治療時に経腟超音波検査の上で卵胞が10mm以下の時に採血を行います。

時には甲状腺ホルモンと副腎皮質ホルモンの採血検査も同時に施行します。これらのホルモンの分析により、不妊症治療の重要な参考になります。
これらの基礎値を総合的分析することによって卵巣機能のキャパシティ(卵巣予備能)と老化状況がわかりになります。特に40歳以上の女性にとっては大事な検査です。

○超音波子宮卵管造影検査(月経周期の7-10日目)

・超音波の下で卵管の状態を評価する検査(予約検査)

卵管は卵子と精子の出会い場所や受精卵、胚が子宮腔内に宿るまでの成育場所と輸送機能がある大事な生殖器官です。

  1. 当クリニックは超音波子宮卵管造影検査(SHSG)を使って、経腟超音波の下で卵管の状態とその通過性を調べます。
  2. この検査を受ける時期は、月経周期の7-10日目の卵胞期(基礎体温の低温期)が適しています。
  3. 月経から検査当日までは性交渉を控えるようにお願いします。
・検査のメリット
  1. X線を使用しない為、卵管や卵巣や子宮に被曝を浴びる心配はありません。
  2. 約15分の短時間で受けられる簡単な検査で個人差はありますが軽い生理痛ぐらいだけで済みます。
  3. 造影剤としては空気と生食を混じって(フェムビュー)使用する為にアレルギーの反応はありません。
  4. 検査後妊娠しやすくなる。造影剤を使用し、卵管を通過させ、通過性があんまりよくなかった卵管を通りやすいように改善された為、検査実施後の1-6か月以内に妊娠する可能性が高くなります。
・検査前注意事項

次のようなことがあれば、検査を控えますのでお知らせください。

  • 骨盤内炎症と腹痛がある方
  • クラミジア検査が陽性の方
  • 月経ではない不正出血のある方
  • 妊娠の可能性がある方
・検査の流れ
  1. 内診台にて行います。
  2. 子宮の入り口から細いカテーテルを挿入し、バルーンで子宮口を固定してから、造影剤(生理食塩水と空気の混合液)を注入していきます。経腟超音波を見ながら、この造影剤を一定の時間(5-8分)でゆっくり流します、この造影剤の流れ方を見て、子宮と両側の卵管走行や卵巣と卵管との位置関係を評価します。
  3. 検査中に個人差はありますが生理痛のような腹痛を感じたりすることがあります、もし強い痛みを感じたときはすぐ医師にお知らせください。
  4. 痛みの感覚に関しては、卵管の疎通性にもよりますが両側の卵管が完全に詰まった場合に、痛みが強く伝わってくる可能性があります。
・検査後の注意事項
  • 検査後は当クリニックの回復室にて約15分の休みをしていただきます。
  • 検査後の当日より抗生剤を二日間内服します。
  • 検査後、少量の出血がありますので、心配はいりません。
  • 検査後、当周期でも妊娠することができます。
・検査費用

保険診療適用外のため、自費診療となります。

○ホルモン負荷テスト GnRHとTRHテスト

正常月経がある女性には、GnRHとTRHは脳の視床下部より分泌され、脳下垂体を刺激して、それぞれLH、FSHとプロラクチン(PRL)の分泌を促進します。排卵障害はこの生理的な調節機構が異常によって、引き起こされると考えられますが視床下部―脳下垂体―副腎系、視床下部―脳下垂体―甲状腺系などにおける他の内分泌疾患を除外することも大事です。
排卵障害は不妊症全体の約20%を占めるとされていますので血中ホルモンの基礎値検査と負荷テストの検査によって、排卵障害の部位原因がわかりになります。視床下部障害によるものが圧倒的に多いと報告されています。

このテストは不妊症のすべての方に行う検査ではありませんが排卵障害、月経不順とホルモンバランスなどに異常の方にはその詳しい原因を調べる為に行います、GnRHとTRHを注射後、時間を追って採血(0分、30分、60分、120分)し、ホルモンの変動を検査します。
部位別の原因を同定し、治療の参考になりますが検査するために最低でも2時間は必要です。(Kuo−Cherng Lin,林國城,Fertility and Sterility 46:846−851,1986、アメリカ不妊学会雑誌)、(林國城等、日本不妊学会雑誌、46:846−851、1987)。

排卵期・黄体期

○性交後検査(PCT)

治療と検査を兼ねて、排卵日の直前に性交後検査(Postcoital Test PCT, Huhnerテスト)を行います。精子は子宮頸管粘液の中を通って子宮腔内に入るかどうかを調べる検査です。大体性交後の3−24時間(WHO)に来院してもらいます。その後、内診台で頸管粘液を取って、400倍の顕微鏡下で精子の数を数えます。
もし頸管粘液の中に1個の高速直進精子を認めれば、正常ということになります。勿論、精子が多く見れば多いほどがいいと思います。

二回の性交後検査の結果が不良だったカップルには人工授精の治療(洗浄した優良精子をカテーテルにて直接子宮腔内に入れます)を行います。同時に抗精子抗体の血液検査も調べます。

○黄体ホルモン検査

排卵後、卵巣の中に黄体という組織が形成され黄体ホルモンを分泌し、子宮内膜の発育と増殖を促すことによって子宮内膜が厚くなり、受精卵の着床を準備しサポートします。よって、この黄体機能のおかげで妊娠ができやすい状態となるわけですので黄体中期の黄体ホルモン濃度を調べることは大事です。

月経中以外・随時

○CA125採血検査

これは子宮内膜症と卵巣がんの腫瘍マーカー検査です。婦人科領域で最も多用されている腫瘍マーカーで卵巣がん全体では70-80%の陽性率を示し、診断や治療効果判定、予後の推測、再発予測のモニタニングにも有用であります。
CA125は子宮内膜、卵管でも産生されるため、子宮内膜症、良性卵巣嚢腫、子宮筋腫などの疾患も上昇しますので不妊症の方の検査にも大切です。

○AMH採血検査(卵巣予備能検査)

近年、注目されている卵巣予備能検査としての評価指標のがAMH(Anti-mullerian Hormone、アンチミューラリアンホルモン)を測る検査です。月経周期に影響を受けないためいつでも測定することが可能です。

AMHは原始卵胞(卵子在庫の量)から分泌されと考えられており、原始卵胞(卵巣内で待機している卵胞)が少なくなってくるとAMHの値が低くなり、卵巣予備能が低くなります。不妊治療選択の目安と閉経年齢の予測などに使用されています。ただし、AMHの検査は原始卵胞が多いか少ないかだけがわかり、正常か異常かの判断をするとはできません。AMHが異常に低くでも治療すれば妊娠することは可能です。

AMHは保険適応されていない為に自費診療となります。

○精液検査

男性の精液検査は原則上禁欲4日間後に精液を用手にて家で採取し、1時間以内に当院の受付に持ってきていただいたら、すぐ顕微鏡の下で精液の状態を調べられます。

WHOの正常精液所見の正常値は以下の通りです。
精液量 2.0 ml以上
精子濃度 2000万/ml以上
総精子数 4000万/ml以上
運動率 前進精子 50%以上 
高度 前進精子 25%以上
精子奇形率 50%未満
精子生存率 50%以上
白血球数 1000万以上の場合、精液培養提出 膿精子症の場合に、抗菌剤を投与します。
WHOの精液所見の分類 精子異常の場合、次の通りです。
乏精子症 精子濃度 2000万/ml未満
漢方薬治療、ゴナドトロピン注射、ビタミン、人工授精の治療を
乏精子症 精子濃度 500万―2000万
漢方薬治療、ゴナドトロピン注射、ビタミン、人工授精の治療を
精子無力症 運動率50%未満
漢方薬治療、ゴナドトロピン注射、ビタミン、人工授精の治療を
奇形精子症 正常精子50%未満
漢方薬治療、ゴナドトロピン注射、ビタミン、人工授精の治療を
無精子症 精液中に精子が存在しない
無精液症 精液が射精されない

乏精子症の場合には、まず原因を検索するために、男性の血液(脳下垂体ホルモンや精巣ホルモンや甲状腺ホルモンなど)を検査する必要があります。その潜在性の基礎疾患を調べます。

  • ・血中FSH>15mIU 精巣機能萎縮
  • ・血中FSH<5mIU 精巣機能低下症
  • ・血中LH,PRL 高値:Leydig細胞機能障害

臨床既往症の聴取、停留睾丸、耳下腺炎性精巣炎、鼠径ヘルニア手術、精巣外傷、精巣上体炎、尿道炎、前立腺炎、精嚢炎、糖尿病、肥満症、高血圧症などの疾患も精子の状態を及ぼす可能性があります。高温環境、ストレス、常用薬剤(精神安定剤、胃腸薬、高血圧薬)などの慢性的な影響はあります。

男性不妊の原因は特発性の原因不明が一番多いです、次は精索静脈瘤、精路通過障害なども考えられます。

当クリニックではまず臨床症状を参考しながらホルモンの検査を分析してから、漢方薬の八味地黄丸や補中益気湯や牛車腎気丸などを主体とした薬物療法を行います。夫への薬物療法をも並行する形で配偶者間人工授精(AIH)(洗浄した運動性が優良精子のみ)を行います。夫のホルモンの検査の結果によって、保険診療適用内と適用外のゴナトロピンの注射をも並行して治療をさせていただきます。

男性精子を増やすことはかなり難しいですので、治療時間が長引きになります。基礎疾患がある方(糖尿病、高血圧の男性など)はなおさらです。経験的漢方薬の治療によって効果がよく見られますので治療を根気よく続けることが大切です。

☐性機能障害(ED、 勃起不全)も不妊の原因になりますので、次の薬を投与して、改善させることができます。

(保険診療適用外で、自費になります)

バイアグラ(Viagra) 
食事の影響あり
25mg、50mg(性行為1時間前服用)
レビトラ(Levitra) 
食事の影響なし
5mg、10mg、20mg(性行為1時間前服用)
シアリス(Cialis) 5mg、10mg、20mg(作用時間が長く、36時間、性行為直前に服用不要

禁忌症:高血圧症(170/100mmHg)、低血圧症(90/50mmHg)、心臓病、心血管系障害などがある方

○甲状腺ホルモン検査(TSH、T3、T4)とその抗体検査(TRAb、TSAb、抗TPO抗体、抗Tg抗体)

甲状腺ホルモンは卵巣の機能や女性ホルモンと深くかかわりがあります。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)(自己免疫性甲状腺疾患)の女性は月経不順、月経過多と無月経をともなうことはよく見られますし、妊娠すると流産と早産率も高くなります。

甲状腺機能低下症(橋本病)(自己免疫性甲状腺疾患)があれば、甲状腺ホルモンの不足で無排卵になったり、高プロラクチン血症をひきおこすこともあり、それは不妊症の原因になります。 ただし、これらを治療しますと、甲状腺ホルモンが正常になっていれば、不妊症が治ることはありますので生殖年齢の若い女性が多発する甲状腺疾患に甲状腺ホルモンとその甲状腺自己抗体と超音波の検査が必要です。

当クリニックの不妊症治療方針

自然排卵時タイミング療法

上記の不妊基本検査をしながら、治療も同時に開始をさせていただきます。

まずBBTを参照しながら、自然の排卵日を経腟超音波にて成熟卵胞の大きさを測定し、同時に子宮内膜の形態を評価して、排卵日を予測します。排卵日が近ついたら、同時にホルモンの採血も行って、排卵の状態を確認し、そして、確認した自然排卵日の周辺にセックス のタイミング(性交)を行います。排卵後、また経腟超音波を使って黄体を観察し、黄体ホルモンを採血して黄体機能不全症はあるかどうかを評価します。これを約3−6か月間(周期)(年齢によって異なります)の試しにして、妊娠に至るかどうかを観察します。この間に精子検査もついでにやらせていただきます。

上記の自然タイミング方法が妊娠しない症例に、また排卵誘発のクロミフェンを5日間投与しながら、卵胞のモニターをし、排卵時に性交のタイミングを行います。卵胞直径平均が20mm以上になったら、hCGを注射して排卵を誘発する方法もよく行われています。

排卵誘発薬と他剤の併用時のタイミング療法

上記の排卵周期が妊娠出来ない症例に、病状によって次の排卵誘発剤とほかのホルモン剤を投与して奏効することはあります。

  • クロミフェン+卵胞ホルモン
  • クロミフェン+黄体ホルモン
  • クロミフェン+HCG注射
  • クロミフェン+抗インスリン抵抗性薬
  • クロミフェン+ドパミン剤
  • クロミフェン+副腎皮質ホルモン
  • クロミフェン+甲状腺ホルモン療法
漢方薬の体質改善+排卵誘発剤

まだ妊娠が見られない場合には内服の排卵誘発剤と漢方薬を並行して投与し、また3−6か月の排卵誘発の治療を試みます。上記のように、排卵日を超音波検査にて、BBTを参照しながら、推測します。漢方医学の上では、不妊症例は寒証を占めることが多いで、排卵はするが長期間妊娠に至らないほうがおおいです。これらに漢方薬を飲むと活血と血行促進作用があり、妊娠する効果が高くなるとの報告があります。

  • クロミフェン+各種漢方薬治療
排卵誘発剤の注射

この様な治療が終わる時にまだ妊娠が至らない場合には、いくつ注射の排卵誘発剤(ゴナドトロピン、HMG、ゴナピュール、ゴナールエフなど)を組み合わせながら、同じように3−6か月の治療を試します。(病名によって、注射の排卵誘発剤は保険か自費診療になります)。

  • クロミフェン+HMG+HCG
  • HMG+HCG
  • フォリスチム+HCG
  • ゴナールエフ+HCG
  • FSH低用量漸増療法+ HCG

臨床経験により、妻の年齢が40歳以内に、ここまでの基本検査を始め、排卵誘発剤を内服し、或いは漢方薬の治療を併合し、また排卵誘発注射剤を受けて、排卵日を測定して、性交タイミングを行って、黄体機能を補給するという治療の流れを経ましたら、大体70-80%の妊娠率が得られます。原則上、ケース バイ ケース、不妊カップルの条件を考慮しがら、上記の治療方法はご希望と年齢別により随時に組み合わせて調整することができます。

人工授精の治療(優良精子の濃縮により)

男性の精液が異常の場合には、例えば精子無力症、乏精子症、無精子症など、明らかな治療法がないのは現状ですが漢方薬を使った研究では精子生成機能に促進する効果がかなりありますので、同時に排卵時に優良精子濃縮による人工授精の治療をお勧めします。男性不妊の原因も結構複雑になりますので、病名によって(男性のホルモン採血検査結果を基づいて)、保険診療適用のゴナドトロピン注射を使用することもできます。

男性の場合に対して薬は睾丸に刺激して、精子の品質を増やす治療効果が出にくい方ですので、もっと根気よく続けて、長期間の治療を受けなければなりません。精子異常の改善についての効果判定は女性を妊娠させることは一番確実ですが精子を繰り返す検査でも一つ判断のパラメーターです。

ほかに不妊症の原因

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

不妊症原因のひとつです、月経異常、男性ホルモン過多をメインとして内分泌機能障害による排卵がなくなります。

月経異常、希少月経、無月経、と男性ホルモン過多症を主徴として、或いは肥満症と多毛症をも伴っています。不妊症の女性はよく見られる病気のひとつです。血中脳下垂体ホルモンのLHは高値でまたはFSH濃度は正常或いはやや低値です。経腟超音波の卵巣形態所見は多数の小卵胞があり、卵巣は全体的に腫大しています。妊娠を希望する場合はまず排卵誘発剤を飲んで、セックス タイミングをして、様子をみますが薬をのんでも排卵しない場合に、また排卵誘発の注射を追加するかインスリン抵抗性を抑えるという薬を併用して、排卵を誘発します。卵巣過剰刺激症候群の副作用を深く注意しながら、排卵誘発をします。多嚢胞性卵巣症候群の方は子宮内膜増殖症、子宮内膜癌、高血圧、糖尿病とメタボリック症候群を合併することは高いですので常に気を付けなければなりません。

高プロラクチン血症及び潜在性高PRL血症

異常な乳汁分泌、乳漏症も不妊症の原因になりますが薬の服用により、妊娠に至るケースが多く見られます。

異常な乳汁分泌も不妊症をおこす原因のひとつです。乳汁漏出というのは妊娠中と授乳中でもないのに、乳頭から乳汁の分泌が見られて、大抵ブラジャーが汚れているか月経異常があるときに発見されます。下垂体プロラクチンは乳汁に重要な役割を持ち、妊娠中は非妊時の約10倍以上に増加し、授乳中も継続する高プロラクチン状態により、排卵周期が抑制され、無月経の状態になります。
診断は月経の卵胞期の3−5日目、プロラクチンを採血して、検査します。30ng/ml以下は正常ですが潜在的高プロラクチン血症も臨床的に存在し、不妊をもたらすことがありますので注意をしなければなりません。当院ではGnRH、TRH負荷試験(ダブル テスト)による検査をして、その潜在的な病態を判断します(Kuo−Cherng Lin,林國城,Fertility and Sterility 46:846−851,1986アメリカ不妊学会雑誌)(林國城等、日本不妊学会雑誌、46:846−851、1987)。
授乳中のように、乳汁漏出はしばしば月経異常、排卵障害、黄体機能不全と無月経などを伴い、乳汁漏出−無月経症候群とも呼ばれます。約月経異常患者の20%は高プロラクチン血症を呈すると報告されていますので不妊症の原因にもなります。

その原因は脳下垂体腫瘍のプロラクチノーマ、原因不明、薬剤性(精神安定剤、高血圧剤、胃腸薬など)甲状腺機能低下、胸部手術後などが挙げられています。ですから、高プロラクチン血症症例では脳神経外科で頭部MRI検査を行うことは必要と思われます。

治療方法は原因疾患と目的によって異います、妊娠を希望する場合には、原因を取り除いて、ドパミンアゴニストの投与をしながら、排卵と月経周期の再開を待つか時期によって、排卵誘発を併用します。妊娠しない患者の場合にはそのままを観察するかホルモン補充療法をします。たまには不正出血が長い場合に、貧血におちることもあります。

妊娠に成功するためにはどうすればよいでしょう

子供がほしければ、早めに積極的に治療を受けることは大事です。 今は晩婚化の時代です。言い換えれば、卵子も年寄りになってくる可能性があります。臨床に20代前半の妊娠率は一番高く、その後徐々に下がっていきます。ですから、卵子が若いうちに、早めに治療することは大切で妊娠率も高くなります。

不妊の治療には夫婦二人の協力が必要で、さらに家族の理解と協力が大切であり、特に精神的に圧迫をあたえないような配慮が欠かせません。いつもリラックスして治療をうけましょう。

治療を根気よく続けることは大切であります。正常な人でも妊娠できるチャンスは年に12回しかありませんし、一回の正常排卵にしても妊娠する概率は30%しかありませんので、今まで長い間妊娠できなかったことから、治療を開始してもすぐ妊娠することはむしろ少ないと思います。

幸いに、最近のART技術(体外受精、胚移植、顕微授精)の進歩がめざましく、妊娠率も高いし、決意があればどんな難しい不妊症にでも対応できるようになりました。過去私も長年にARTの臨床仕事と研究を従事する経験がありましたので子供がほしい不妊症夫婦にはぜひご遠慮なく、お気軽にご相談ください。体外受精治療は高価なものですので適応があれば、専門のARTクリニックでの治療をもお勧めいたします。

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